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Keepon のハードウェア
【究極のシンプルさ】

ぬいぐるみロボット Keepon は,ヒトとオモチャの中間的な存在をめざしたユニークなロボットです.「ゆきダルマ」とも「ひよこ」とも形容される黄色い身体(シリコンゴム製)に,眼(ビデオカメラ)が2つ,鼻(じつはマイクロフォン)が1つという,とてもシンプルな外観をもっています.

図:Keeponの概観 図:Keeponの自由度配置

Keepon は4つの自由度(動作軸)をもちます.まず,pan(くびふり=水平回転)と tilt(うなずき=前後屈)によって,視線(注意)の方向を制御します.Keepon が何かに意識を向けているように見えるでしょう.また,side(くびかしげ=左右傾動)と pon(ポンポン=上下伸縮)によって,情動(楽しさ・驚きなど)を表出します.注意を向けた対象に,Keepon が何らかの〈心の状態〉をもち,それを表現しているように見えるでしょう.

図:Keeponの内部構造 図:Keeponの駆動方法

上図のように,tilt と side の自由度は,上下2組のジンバル(2つの直交する可動軸を組み合わせた構造)を4本のワイヤでつなげることで駆動されます.下側のジンバルをアクチュエータで駆動すると,身体内にある上側のジンバルが同じ動きをするわけです.一方 pan は,内部構造全体を水平回転させることで駆動されます.身体を上下伸縮させる pon は,支柱を貫くワイヤを引くこと(+スプリングによる復元)で駆動されます.

【各自由度の動作仕様】

現行版 Keepon における各自由度の可動範囲・アクチュエータ仕様・終段減速比を下表にまとめました.モータからみた各自由度の減速比は,ギヤ減速比×終段減速比となります.直線運動する pon については,便宜上 0〜100度の可動範囲とし,これを約 15mm のストロークに対応させています.100度=15mm が最も縮んだ状態です.なお,位置 0 で標準姿勢(リラックス状態)となり,動きの正方向は,pan・side では右方向,tilt・pon では下方向となります.

関節名 可動範囲
(deg)
モータ仕様,ギヤ減速比 終段
減速比
tilt −40〜40 maxon RE13 1.5W, GP13A 67.49 3.000
pan −180〜180 maxon RE13 3W, GP13A 67.49 3.000
pon 0〜100 maxon RE13 1.5W, GP13A 67.49
side −25〜25 maxon RE13 1.5W, GP13A 67.49 3.000

各モータは16パルス/回転あるいは256パルス/回転のエンコーダが装着され,制御コンピュータ Pico-2 とモータドライバ Poco-14 によってフィードバック制御されます.運動指令(目標角度・速度・加速度など)は,ホスト PC からシリアル通信によって Pico-2 に与えられます.(下図右側の点線内が Keepon となります.)

図:アクチュエータとの接続
【センサ仕様】

Keepon には,眼となるビデオカメラと,耳となるマイクロフォン(鼻に内蔵)が装着されています.ビデオカメラには Elmo 製の QN42H に 1.8mm の広角レンズを利用しています.カラー41万画素のCCDビデオカメラで,水平画角120度・垂直画角90度を得ています.また,マイクロフォンには SONY 製のコンデンサマイク ECM-77B を採用しました.下図のように,これらセンサはロボットの運動制御とは独立した経路でホストPCと接続しています.

図:センサとの接続
Keepon のソフトウェア
【PC からの制御】

Keepon に搭載された制御コンピュータ Pico-2 上では,モータ制御ソフトウェア Movado が動作しています.PC からシリアル通信によって Movado に指令を与えることで,Keepon の各モータを自在に操ることができます.

PC からの制御方法については「PC-Movado のリンク」をご覧ください.Linux・Mac・Windows からの制御方法について解説してあります.PC 側の開発環境として,C によるプログラミング,Max および Pd によるプログラミングを取り上げていますが,シリアル通信さえできればどのような OS・プログラミング言語でも利用可能です.